INTRODUCTION
令和3年に行われた内閣府の調査によると、日本の高齢化率は28.8%。
この数字があらわすのは、日本が超高齢社会であるということだ。
そんな現代日本で起こった、新型コロナウイルスのパンデミック。
「大切な人のために」という美辞麗句のもと、人々は分断され、孤独を抱えた。
この作品では、一人暮らしの女性「ヨリコ」を通じて、現代に生きる 35 歳、65 歳、85 歳の女性たちの心情を描写し、日本が、そして世界が抱える問題について一石を投じる。
STORY
新型コロナウイルスが猛威を振るう日本。政府は、感染・重症化リスクの高い高齢者に対して、他人との接触を極力減らすよう特措法を改正した。
そんな日本で、孤独な生活を送る35歳のヨリコ。失業中で恋人も友人もなく、愛猫のチャコと遠くに暮らす母親だけが話し相手だ。ある朝、悪夢から目覚めたヨリコは、自分の部屋に違和感を覚える。そしてその違和感は現実となり、次々に不思議な現象が起こり始める。
ヨリコの、長い1日の幕開けだった―。
CAST
小野寺ずる
2011 年より□字ック、KAKUTA、燐光群、タカハ劇団、mizhen、 シンクロ少女、堤幸彦演出などの舞台作品に数多く出演。 近年はドラマ「いいね!光源氏くん」「レッドアイズ監視捜査班」「恋 する母たち」レギュラー出演ほか映画や CM など映像作品にも活動の 幅を拡げている。
アーティストとしても活動しており、現在 日刊 SPA!、雑誌えんぶに て漫画やエッセイも連載中。 特技は東北弁、ドラム演奏、4コマ執筆。
“あるがまま”が目を引く新世代個性派女優。 小劇場界の最終兵器。
STAFF
INTERVIEW with DIRECTOR
撮影 / 監督:モアンドロン マチュ
1978 年 フランス生まれ
1998 年 パリ第七大学入学 映像美術専攻
2000 年 パリにて映像会社「KRIZALID」設立
2006 年 来日。仙台の広告プロダクションで多くの広告や C M を撮影
2018 年 独立。現在は仙台を拠点にフリーランスフォト・ビデオグラファーとして活動中
映画のワンシーンをとらえたかのようなドラマティックな切り撮り方を得意とし、写真家
以外にもショートムービーや音楽制作含め幅広いクリエイティブ活動を展開。
̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶̶< 受賞歴 >
2018 年 東京インターナショナル・フォト・アワード 2018 ブロンズ賞 受賞
2019 年 VOGUE イタリア主宰 PHOTOVOGUE「Pic of the day」受賞
2020 年 VOGUE イタリア主宰 PHOTOVOGUE「Best of」受賞
なぜこの映画つくろうと思ったのですか?
僕は、昔から人と違っていることにコンプレックスを感じていて、生きづらかったんです。みんなが楽しんでいる勉強もスポーツもアウトドアも、全く興味が持てなくて話も合わない。でも、映画だけは大好きで、いつも自分を素敵な世界に連れて行ってくれました。だから、いつか自分で映画を作りたいという夢だけは持ち続けてきたんです。
新型コロナウイルスが出てきて、これまでとは全く違う日常を2年以上過ごしました。この2年、世界中のみんなが苦しんでいるのを見て、心の底から映画を撮りたいという創作意欲が湧き出てきました。それと同時に、東北のクリエイターたちとのいい出会いもあって、「今こそ、皆で作るべきだ」と神様から言われたような気がしたんです。
監督の周囲に認知症の人がいたのでしょうか?
実際に僕のおばあちゃんが認知症でした。おばあちゃんが認知症になった時は、まだ僕は子どもだったので、どういう症状だったのかはよく覚えていません。でも、認知症になってすぐに亡くなってしまったことがすごく悲しかったのは覚えています。
また、僕の妻のおばあちゃんも気仙沼で被災して家が流され、ご近所さんとのコミュニケーションが分断されてしまいました。これが直接的な原因ではないかもしれないけど、彼女は認知症になって亡くなりました。2人のおばあちゃんが認知症になって亡くなったことで、今回のテーマの核を考えるようになりました。
主演の小野寺ずるさんの第一印象はどんな感じでしたか?
顔、特に目が印象的だと思いました。ここに存在するのだけど、存在しないような…なんとも不思議な雰囲気で、今回の役柄にぴったりだと思いオファーをしました。このことを、失礼ながら本人に伝えたら、喜んでくれました(笑)。
一番この映画で最も注力していることは何ですか?
ご縁があって東北に住んで20年近くになります。僕は一貫して、映画やアートを作りたくて頑張っていますが、とにかく誰に相談しても「東北ではこういう仕事はない、やるなら東京に行ったほうがいい、もっと普通でいい」と言われてきました。
「普通って何?」。場所や環境が変われば普通なんて簡単に逆転するのに。
僕は東北でもどんな田舎でもなんでもできるという環境、場所を作りたいんです。
そして同じ想いを抱く東北のクリエイターたちと、そのスタートになる作品にしたいと思っています。
この作品で、人々にどういうメッセージを伝えたいですか?
「LIFE IS SHORT」ですね。人生はいつ何が起こるかわからないし、すぐに終わる。それは震災の時もコロナの時もより強く思うことでした。好きな人たちと会えないまま、悲しい別れもたくさんあったし、そういう話もたくさん聞きました。だから、生きている間に好きな人を大切にしてほしい。
人間は、繋がってなくては生きていけない生き物だから。だから、この作品を見終わった時に、愛する人、大切な人にすぐ会いたくなったら最高に嬉しいです。
音楽:斎藤 めぐむ/ 岡本 優子 / 熊谷 育美
助監督 照明:佐々木 昭博 撮影:熊田恵子 / 窪田 隼人 録音:●●●● ヘアメイク 衣装:島香淑/高橋光 美術 装飾:佐藤菜美/山田剛 キャスティング:杉浦 金男 脚本補助 翻訳:岡沼 美樹恵 /ルーク スワン デザイン コピー:田村 晋 制作 コーディネート:内海 裕里江 他